''平成30年度事業''
平成30年度事業
平成30年度事業計画
Ⅰ.方 針
紙パルプ産業は、人口減少、少子化、ICT化の進展による電子媒体への移行といった構造要因の定着により、紙・板紙の需要が低調に推移するなど厳しい状況が続いており、我々紙パルプ産業が取り組むべき課題は多い。
このような状況下、紙パルプ産業が持続発展していくためには、様々な諸課題を克服していくことが求められている。需要にあった供給体制の見直し、一層の生産性向上、省エネ、製品の高付加価値化による持続的な生産体制の構築をはじめ、更なる新製品開発、新市場の創出さらには企業の財産である優秀な人材の育成などを進める必要がある。
当協会は、静岡県紙パルプ産業会の抱える課題を踏まえ、課題解消の一助となるよう各種事業に取り組んでいる。技術情報の提供や紙パルプ産業界にあって、「製紙メーカ、原材料・薬品・設備メーカ、販売各社と製紙(紙加工)ユーザ」の橋渡し役として、技術交流や人的交流の推進に努めるとともにこれからの紙パルプ産業界を支える人材の育成にも積極的に取り組む。
若手技術者に対しては基礎教育と早期戦力化の援助の役割、中堅技術者に対してはレベルアップを図る場を提供しており、本年度も引き続き人材育成、新技術の紹介、人的交流の拡大に向けた施策を実施する。
具体的には、これまでの成果を踏まえて、本県の紙パルプ業界の振興のため、次の諸事業に取り組む。
*次代を担う技術者の育成を目指し、人材育成のための中期及び短期の技術者研修事業
各研修の内容充実を図るとともに個別要望対応型研修の拡充に努める。
*自動化・省力化・工程安定化のための電気系保全実践技術研修及び機械設備保全技術研修事業
来年度もポリテクセンター静岡の協力を得て各種保全の技術研修を実施する。
*新製品開発技術・古紙の高度利用と品質アップ技術・省エネ技術・環境調和技術などの新技術に関する講演会、講習会、見学会の開催
富士工業技術支援センター及び静岡県工業技術研究所富士センター協議会との密接な連携を図る。
*技術情報誌「紙パルプの技術」の発行
紙パルプに関する知見を広めるための技術情報誌として内容の充実に努め、普及啓発を図るため公益的事業として実施する。
*会員相互の情報交換と交流を図るための会員交流会の開催
*「アドバイザー」制度の活用
*新会員の加入推進
会 告
第71回定時総会審議内容の報告
○平成29年度事業報告(概要)
第70回定時総会開催:平成29年6月6日
理事会開催状況
*平成29年5月11日 ①28年度事業報告・決算報告
②役員の選任について
③表彰者の選考
④第70回定時総会議案書討議
⑤紙パルプ技術アドバイザーの承認
⑥契約の承認
⑦会員の異動
*平成29年8月17日 ①1/4半期事業・会計報告
②29年度収支予算の補正
③会員の異動
④その他
*平成29年12月14日 ①2/4半期事業・会計報告
②会員の異動
③30年度事業の進め方
④什器備品(プロジェクター)の廃棄について
*平成30年3月14日 ①29年度事業報告・会員の異動
②29年度決算見込
③29年度補正予算
④30年度事業計画
⑤30年度収支予算案
⑥第71回定時総会の招集
⑦役員の変更
定期監査 平成29年4月17日 実施
平成28年度事業報告・収支決算及び財産状況の監査
公益目的支出計画実施報告書に関する監査
編集委員会開催(4回):技術情報誌「紙パルプの技術」の編集
第68巻1~4号発行
技術研修開催 ①新入社員研修 平成29年7月6日(53名参加)
②品質管理セミナー 平成29年10月4日(21名参加)
③中小企業等技術者研修(中期) 平成29年10月11日~10月26日(18名参加)
④電気計装実践技術講座 平成29年12月7日~12月8日(9名参加)
⑤中小企業等技術者研修(短期) 平成30年2月19日~2月22日(35名参加)
⑥機械保全実践技術講座 平成30年3月15日~3月16日(13名参加)
技術講演会開催 第1回 平成29年5月24日(83名参加)
第2回 平成29年7月12日(56名参加))
第3回 平成29年9月13日(57名参加))
第4回 平成29年11月29日(73名参加))
第5回 平成30年2月 7日(93名参加))
静岡県包装研究会開催 平成29年11月2日(70名参加)
見学会開催 *平成29年12月6日実施(富士フイルムエンジニアリング㈱) 10名参加
出前講座 2回実施
○会員の状況: 240会員(平成30年3月末)
維持会員 137社、個人会員(1号) 89人、個人会員(2号)14人
○平成29年収支決算報告 別添 貸借対照表、正味財産増減計算書
○平成30年度会費について 維持会費 40,000円
個人会費 1号会員 2,000円
2号会員 3,000円
○役員の選任
○平成30年度事業計画の概要(報告事項)
製紙工学技術者研修
①中期研修(10月)
②短期研修(2月下旬~)
③新入社員研修(7月)
④機械保全(12月)、電気計装(2月)実践研修(各1回)
技術講演会開催 年5回程度
品質管理等の講習会 年1回
包装研究会 年1回
技術情報誌「紙パルプの技術」の発行(公益目的支出計画事業)
出前講座 随時
工場見学会 2回
会員交流会 (新年互礼交歓会) 1月
○平成30年度収支予算(報告事項)
30収支予算書
以上を総会にて審議し了承(賛同)を得て閉会した。
第5回技術講演会を開催(平成31年2月6日(水))
テーマ:「古紙環境対策特集」
参加者:61人
会 場:富士工業技術支援センター大研修室
(1)【古紙を取り巻く状況】
公益財団法人 古紙再生促進センター 業務部長 中田 広一 様
『 中国が2017年に環境保護政策により古紙調達方針を変更したことに加え、米中の貿易摩擦もあり、2018年の日本国内の古紙需給は過剰な輸出の影響を受け余剰・不足が短期間に生じ、混乱した。更に、中国は“2020年末までに固体廃棄物の輸入0を目指す”との方針を発表しており、今後の動向を注視し対策を図っていくことが求められる。日本は、古紙の国内回収量が国内消費量を上回る状況下、一定量の輸出は必要であるが、国内の持続的な紙リサイクル維持の為には、国内需給と輸出とのバランスをいかに取っていくかが必要であることから、古紙を取り巻く状況を述べて頂いた。』
講義風景1
(2)【カンバス用高圧水洗浄装置「ブロワー吸引型スーパークリーナー」】
相川鉄工株式会社 設計部 吉野 剛史 様
『 弊社ではこれまでにカンバス洗浄装置として、スキャンジェットシャワー装置から始まり、2003年に国内第一号機高圧洗浄装置であるコンビクリナー装置を納入、2008年に国産スーパークリーナー装置第一号機を納入し、現在100台を超える納入実績がある。
最新のプロワー吸引型スーパークリーナー装置は洗浄ヘッドの形状変更、高圧洗浄水ノズルの理想的な配列、洗浄ヘッドの吸引力強化による大幅な洗浄強化が可能となった。ここでは最新のブロワー吸引型スーパークリーナー装置の特長及び納入実績を紹介して頂いた。』
講義風景2
(3)【「縦型分離・洗浄・回収機“バーチカルZ”の効果と展開」】
株式会社大善 研究所 所長 上條 正泰 氏
『当社が開発した縦型分離・洗浄・回収機“バーチカルZ”が平成30年度紙パルプ技術協会佐々木賞受賞の栄誉に浴することとなったが、“バーチカルZ”は発売以来、様々な使用法によって活躍の場を広げて 来た。特に近年は製紙業界においては、省資源、省エネルギーに重点が置かれつつあり、発売当初は洗浄・濃縮用途が主であったが、次第に繊維回収用途が増えて来ている。 例えば、従来は一見濃度が低く、見過ごされて来た排水中の微量のパルプ成分の内、有効繊維分(繊維長150mesh on:0.10mm以上)を選択的に回収するのに優れた効果を発揮しつつある。
このような背景において、本稿では主として、“バーチカルZ”の繊維回収用途について、その使用事例の一部を紹介して頂いた。』
講義風景3
中小企業技術者「実践的PLC制御技術」研修
日時 平成31年1月28日(月)~29日(火)
訓練時間 12時間
場所 静岡県富士工業技術支援センター 小研修室
受講者 9人
内容 PLCの構成とⅠ/O割り付け、ラダープログラムソフトの使用方法デバッグ作業など回路作成実習を通して基礎から学び、演習課題によりその技能を習得しました。
第4回技術講演会を開催(平成30年11月28日(水))
テーマ:「エネルギー特集」
参加者:41人
会 場:富士工業技術支援センター大研修室
(1)テーマ:「エネルギー・マネージメント・システム(EMS)導入による省エネルギー」
講演者:新東海製紙株式会社 島田工場 工務部開発課 主任 塚本 智 様
『新東海製紙㈱島田工場は、紙の生産に必要な蒸気と電力を、4基のボイラーと4基のタービン・発電機からなる自家発電設備と購入電力で賄っている。環境負荷の低減、省エネルギーの取組みによる生産コスト削減を図る事は、重要な課題として進めています。今般、新バイオマスボイラー建設に際し自家発電設備(ボイラー・タービン)の効率的な操業に注目し、エネルギー・マネージメント・システム(EMS)を導入する事とした。EMSを用い各ボイラー・タービンの最適化制御を使う事で、蒸気需要・電力需要や抽気流量など、エネルギー使用量は同じでも発電電力が最大化の運転を実現
講義風景1
(2)テーマ:「家庭用コージェネレーションシステムの先導的活用によるスマートマンションの開発」
講演者: 静岡ガス(株)エネルギー戦略部電力事業推進担当
コマーシャル チーフ 土橋 亮太 様
『静岡ガス㈱は、東レ建設㈱との共働により、静岡県駿東郡長泉町にスマ
ートマンション(シャリエ長泉グランマークス)を開発し、2018年3月
に竣工した。EAST棟、WEST棟の2棟からなり、合計190戸の全戸に
は、家庭用燃料電池「エネファーム」が導入され、家庭内で使用する
電気を発電すると同時に、その排熱は住戸内の給湯に利用できます。
またエネファームの出力(最大700W)を有効に活用するため、住戸間で
電力を融通するシステムを構築し、住民同士で電力の取引可能とする。
「T-グリットシステム」を完成しました。このような分譲マンション
における電力融通システムの構築は日本初となる取組をご紹介して頂
いた』
講義風景2
(3)テーマ:「新たな省エネルギー対策のご紹介」
1.平ベルト採用による送風機の省エネ
2.蒸気配管への増し保温による蒸気配管放熱ロスの削減
講演者:東京電力エナジーパートナー(株)E&G事業本部部長原田 光朗 様
『電気の省エネ対策のうち、送風機で多く使われているベルトの省エネ対策について従来はVベルトが多く使用されてきました。既存Vベルトを平ベルトシステムに転換すると約7%の省エネを実現できます。熱の省エネ対策では、蒸気配管への増し保温技術について、ボイラーから熱利用先まで蒸気を送る蒸気配管からの放熱ロスは、投入エネルギー量の10~30%と言われており決して、小さな量ではありません。従来断熱材の2倍以上の断熱性能を持つ新材料による増し保温技術はそのロスを約半減にすることが可能です。電気と熱の新たな省エネルギー対策を各一例ずつご紹介して頂いた』。
講義風景3
工場見学会「隣の晩御飯シリーズ」
日時 平成30年11月14日(水)
会場 日本フイルコン㈱静岡工場
富士市厚原1780
参加者 30人
内容 今年度の工場見学会「隣の晩御飯シリーズ」は、日本フイルコン㈱静岡工場の全面的なご協力を得て開催しました。ワイヤーが製造工程を経る中、手織りや検査など細かな職人技で製品化されることが参加者の関心を集め、技術の維持する方法などを知ることができ、大変有益な見学会となりました。
平成30年度 品質管理セミナー研修
日時 平成30年10月3日(水)
座学3時間
場所 静岡県富士工業技術支援センター 研修室
受講者 25人
内容 品質管理の基本的な考え方、品質管理の歴史、品質管理の全体像、ISO、QCの7つの道具、検査、現場の品質管理、新しい品質管理等について講義をいただきました。
・講義風景1
第3回技術講演会を開催(平成30年9月12日(水))
テーマ:「板紙の最近の技術動向」
参加者:83人
会 場:富士工業技術支援センター大研修室
(1)【古紙パルプ製造における選択的加温分散処理について】
日本製紙㈱富士工場 吉永製造部長代理 青木 功 様
『 年を経るごとに禁忌品(昇華性色素、感熱発泡紙等)混入の影響で古紙品質が悪化し、古紙パルプ由来の品質異常による損失が拡大している。これら品質異常の発生メカニズムは各々異なるだけでなく、時間が経たないと判明しないケースもあるため、これまでは主に古紙選別強化による水際対策や品質異常発生後の排出強化により対応せざるを得なかった。
そこで、今回フラクショネータ及びホットディスパーザを新たに導入し、パルプ製造過程において分級及び加熱分散処理を行うことでこれら原因物 質を選択的かつ大幅に低減する技術を確立したことについて紹介して頂いた。』
講義風景 1
(2)【板紙の最近の技術動向】
王子マテリア㈱富士工場 研究技術部 研究技術部長 小野智弘 様
『 近年紙パルプ産業を取り巻く環境は大きく変化しており、スマート
フォンや電子書籍の普及等でペーパーレス化が進んでいる。その結果、
新聞用紙や印刷用紙の生産性は年々減少しているが、ティッシュペー
パーやトイレットペーパーなどのいわゆる家庭紙やインターネット通
販を使う人が増えたことで、段ボールの業績が比較的好調である。
このような状況下で、古紙使用比率の高い板紙について、古紙利用
技術及び抄造技術についての紹介と古紙のリサイクル化が進むことに
よる品質問題と対応について紹介して頂いた。
講義風景2
(3)【板紙に対する最近の薬品技術動向】
ハリマ化成㈱ 研究開発カンパニー 製紙用薬品開発室
副主席研究員 吉川 和秀 様
『 板紙抄紙系では古紙パルプに由来する粘着性物質が種々のトラブ
ルを引き起こしており、紙の品質低下や操業性悪化を改善する要望
が高まっている。この様な要望に対して粘着性抑制とパルプ繊維へ
の歩留まり向上により抄紙工程を清浄化するPAM系ピッチコン
トロール剤「ASシリーズ」を上市した。また、間接食品添加物と
しての食品接触物質届出制度(FCN)にて米国食品医薬局(FDA)
の認証を取得した安全で優れた品質と機能を両立させた両性PAM系
乾燥紙力剤「ハーマイドKSシリーズ」、同様FDA認証取得したアニ
オン性高分子乳化剤適用による新規ロジンエマルションサイズ剤「N
euRoz®シリーズ」を上市した。更に「NeuRoz®」とアルミ
ニウム化合物の混合添加法「CO-mingle®」適用で従来品に対
して優れたサイズ効果が付与できることを紹介して頂いた。
講義風景3
平成30年度中小企業等技術者研修(製紙工学課程・中期)
日時 平成30年8月20日(月)~8月31日(金) (土日を除く)
(座学40.5時間、実習12時間 計52.5時間)
場所 静岡県富士工業技術支援センター 研修室及び企業協力会社
内容 紙・パルプ産業の技術者の皆さんを対象に、製紙の総合的な技術を習得していただく研修です。「製紙原材料概論」「紙料調成機械」「品質管理」「抄紙概要」「抄紙機各論」「内部添加剤」「抄紙用具(ワイヤー)」「抄紙用具(フエルト)」「紙塗工」 「製紙工業における省エネルギー」「家庭紙の概要」「古紙処理法」「用紙と印刷」「仕上包装」「パイロットマシン利用抄紙機概要」などの講義と「原料調成・抄紙」「物性試験」の実習を行いました。
受講者 14人
- 実習風景
カリキュラム 別添
平成30年度中小企業等技術者研修カリキュラム
第2回技術講演会を開催(平成30年7月18日(水))
テーマ:「安全・防災特集」
参加者:60人
会 場:富士工業技術支援センター大研修室
(1)【化学物質に係る労働災害防止対策】
富士労働基準監督署 安全衛生課 地方産業安全専門官 富田 哲氏
『約6万種もの化学物質が使用されており、その数は増加し続けている。
化学物質に係る休業4日以上の災害は年間500件程度発生している。労働安全衛生法では、労働者に重度の健康障害を生じる物の製造等を禁止し、特に労働者にリスクが高い物を特別規則により規制している。
使用量や使用方法により労働者にリスクが生じる物に対しては、リスクアセスメントの実施等が平成28年6月以降義務化されている。当該物質は増加し続けており、平成30年7月1日から672物質となった。
新規知見に応じて変化し続ける化学物質対策に関し、労働安全法を中心に講演をしていただきました。』
(2)【想定される巨大地震と日ごろの備え】
静岡県東部地域局 危機管理課 主査 牧田 晋吾 氏
『地震の基礎知識と地震の種類ごとに引き起こされた災害の特徴、本県で想定されている地震被害について説明し、地震災害の概要を学んでいただきます。また、静岡県第4次地震被害想定において推計された被害をできる限り減らすため、減災に向けて皆さん一人ひとりに取り組んでいただきたい日ごろの備えについてお伝えいただきました。』
(3)【近年の火災傾向と工場防火管理について】
富士市消防本部予防課 査察担当 消防士長 藤下 征也 様
『富士市において、平成29年は平成28年に比べて、火事が20件近くも増加しました。これを受けて、富士市においての近年の工場火災状況と火災等の災害にお
『富士市において、平成29年は平成28年に比べて、火事が20件近くも増加しました。これを受けて、富士市においての近年の工場火災状況と火災等の災害にお